始まりはドルビーデジタルだ DVD-Videoとマイルーム・シアター ドルビーヘッドホンの効果 「ドルビーヘッドホン」って買えるもの? 始まりはドルビーデジタルだ 今や映画は立体音響を抜きにしては語れません。アカデミー最優秀音響賞を受賞したような映画を見るとき、観客はそれらの凄まじいアクションと音響効果に圧倒され、異次元の世界に引き込まれてしまいます。SFX映画では、宇宙船の頭上通過や風の音など、効果音はスクリーンからだけでなく、劇場全体の音響システムを駆使してリアリティを高めるよう周到に計算されており、空間的な音響処理なしでは映画そのものが色彩を失ってしまうほどです。これらの映画は1990年代になって導入されたドルビーデジタル音響の恩恵を最大限に表現している作品群といえます。しかしそうした映画ばかりでなく、身近でささやかなストーリーであっても、台詞のクリアさ、音楽の心地よさを必ず具えているのが今どきの映画作りとなっています。 映画館のみならず、そのような映画タイトルを収めたDVDコンテンツを見るときにも、音響効果に気を配らなくては映画の最高の楽しみ方はできない、ということになります。 top DVD-Videoとマイルーム・シアター CDが音楽のデジタル化を果たしたように、ホームビデオの世界がDVDで変わりつつあります。DVD-Videoの特長は映像のデジタル化によるクリアな画質とドルビーデジタルによる5.1チャンネル・サラウンド音響です。しかもオリジナル音声、吹替音声さらには字幕選択などの様々な機能が搭載可能でありながら、CDと同じ直径12cmの光ディスクに映画一本がまるまる収録できてしまいます。わたしたちはこのDVDを軸に新たな『マイルーム・シアター』を提唱します。 映画の音を映画館で感動したように再現するには、通常やや大がかりなAVシステムを構築することになります。しかし、もっと身近な形で楽しみたいという人たちは数多くいます。最近では手頃な価格で『お茶の間』サイズにまとめられたシステムも登場していますが、「部屋にスピーカーを5本セットすることは無理だ」という人もいます。あるいは「自分はAVシステムを持っているが、夜中に大きな音で映画を見るというわけにいかない」という人もいます。そうした人たちのために、ドルビーデジタル5.1チャンネルやドルビーサラウンドプロロジック4チャンネルの立体音響をヘッドホンで体感できるよう開発されたのが『ドルビーヘッドホン』なのです。 top ドルビーヘッドホンの効果 通常ヘッドホンでステレオを聞くと、スピーカーのように眼前に音が定位することはなく、すべての音が頭の中で鳴ってしまいます。ヘッドホンステレオになれている人たちにとってもこの不自然さは快適なものではなく、ましてや映画をヘッドホンで鑑賞することは大きな苦痛でした。ところがドルビーヘッドホンを聞くと、部屋に置かれたスピーカーが再現されるように聞こえ、その違いに驚かされます。セリフは画面中央に定位し、音楽は前方に広がります。サラウンドの効果音も生々しく背後から聞こえるではありませんか。自分の部屋に手を加えることなく、映画館に負けない『マイルームシアター』が簡単に手に入ってしまうのです。 それではどうしてこのように聞こえるのか、簡単にそのメカニズムを見てみましょう。下図はスピーカーから音を聞いている状態です。例えば左のスピーカーの音は左右両耳で聞いており、そのレベル差、時間差、特性差により、人間は方向性を関知します。さらに直接音に加えて、部屋の反射音も耳に届きます。 ところがヘッドホンでのリスニングというのは、左の音であれば直接左の耳だけでそれを聞くことになり、前方に音像があるようには聞こえません。 ドルビーヘッドホンでは仮想的なルームシミュレーションを行い、その音響特性を左右のヘッドホン信号に畳み込みしています。例えば上述の左チャンネルの音なら、その響き成分や部屋からの反射音成分を左右のヘッドホンに合成出力します。スピーカーで聞く場合と同質の成分を左右の耳で聞くことにより、あたかも前方に音源があるように感じられるわけです。 こうした処理は複雑で膨大な演算を必要としますが、デジタル信号処理性能の向上により、ようやく実現できるようになってきました。これまでの類型的方式が聞く人ごとに特性を最適化しなければならなかったのに対して、ドルビーヘッドホンは聞く人やヘッドホンの種類には(感度・特性バランス差などにより若干のバラツキはあっても)、本質的には左右されないことが大きな特長です。 またその効果を作るルームシミュレーション・パターンはひとつだけではなく、一般的な居住空間サイズ以外に映画館などのパターンを作ることもできます。 DH1モードはコンパクトなマイルーム DH3モードはシネマサイズ top ドルビーヘッドホンって買えるもの? 「ドルビーヘッドホンをください」とお店に行っても、ヘッドホンは売ってもらえません。なぜなら『ドルビーヘッドホン』というのはヘッドホン本体のことではなく、その効果に対する呼び名だからです。その中身は最大5.1chの音を2chに畳み込む信号処理回路であり、他のドルビー技術と同様にアンプなどの製品に回路として内蔵されます。つまり、「ドルビーヘッドホン」対応の機器を持っていれば、従来どおりのヘッドホンでドルビーサウンドが楽しめるということなのです。 Prius DECKシリーズでは、必要なデジタル信号処理を行うソフトウェアを内蔵し、PureDIVAを使ったDVD再生時に機能します。これはPrius DECKシリーズの高いハードウェアスペックがあって初めて可能になるものです。響きが自然であるがゆえに聞き疲れしないドルビーヘッドホンは、ホームシアターの楽しみをさらにすばらしいものにしてくれるでしょう。 top さらに詳しくドルビーの技術について知りたい方は、こちらへ。ドルビーラボラトリーズ Dolby、ドルビー及びダブルD記号はドルビーラボラトリーズの商標です。 お問い合わせはこちらへ All Rights Reserved, Copyright(C) 2001, Hitachi,Ltd.